逆さに伸びた伊勢神女の七本杉
どんな伝承か
英田郡作東町の宮原にあった大杉の由来である。永禄のころ、伊勢神宮の造替の寄進を募って諸国をめぐっていた伊勢神女が宮原の中西を訪れ、手にしていた七本の杉を束ねて地面に挿した。するとそれがみな根づいて芽を出したという。伸びた枝葉がことごとく下を向いていたため、土地の人々は不思議がり、伊勢神女の杉と呼んで敬った。いぼ取りを願えば必ず効いたので、礼として鳥居が立てられたと伝わる。この杉は昭和二十六年ごろに伐られ、そのときの幹まわりは五・三メートル、高さは十五メートルを超え、樹齢は四百年を数えたという。跡地には祠が建てられ、今もまつられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。