作州の農婦の傷口からふき出す綿
どんな伝承か
俗に「綿ふき病」と呼ばれる奇病の第一号は、岡山県英田郡美作町の開業医田尻保が診察・治療し、『日本医事新報』に報告した。患者は一九一四年生まれの農婦で、作州に生まれ作州に育った土地の人であった。昭和三十年二月、部落の用水池の堤防修理の作業に従事していて突然悪寒を伴う高熱を発し、駆けつけた内科医が腋の下に体温計を差し込むと水銀柱が破裂した。同年十一月に腕へ拇指の頭ほどの皮下腫瘤ができ、翌年九月にそれがつぶれて驚くほど多量の膿が出た。以後は創口から純白の綿のような物質が絶えず出続けたという。
原典より
体温計では摂氏四十三度まで計れるから、これ以上の想像を絶した熱が出たわけである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。