手術の傷口から出続ける七色の綿
どんな伝承か
昭和三十五年、兵庫県の国立明石病院を訪れた十七歳の少女は、町の病院で受けた盲腸の手術跡が化膿していた。院長の小坂暁一が膿を取り除くと、指ほどの綿のようなものが出てきた。手術で置き忘れたものと見て摘出しても、退院後また傷口が開き、通院のたびに綿が出てくる。調べると純粋な植物性の繊維で、のちには赤や黄、紫など七色の綿まで現れ、倉敷レーヨンの鑑定でもセルローズの陸地綿とわかった。入院と手術を八回重ね、筋肉まで切り取っても米粒ほどの綿が出続け、阪大病院に移っても原因はわからなかったという。
原典より
指ぐらいの綿状のものが三つ四つ出て来たからである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。