夜汽車に現れたカタリナの迎え
どんな伝承か
ある年の初夏、貞子さんと箱根へ行った帰りの夜汽車で、正体不明の若い外国婦人が現れ「近い内にお呼びします」と告げて姿を消した。それがカタリナの写真と寸分違わぬ人物だとわかり、数日後の新聞で貞子さんが明石の海岸から投身自殺したことを知る。カタリナが船中で亡くなった日も、貞子の父母が死んだ日も、貞子が投身した日も、すべて十月九日であった。
原典より
外國婦人は小腰を屈め「あなたは貞子さん、近い内にお呼びします、きつとおいで下さい」と顔を覗くやうにしてホ、微笑みました。—— 幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年))
『幽霊は語る』は、梶天真が編んだ幽霊譚と幽霊論の集成で、昭和十三年に文明社から出た。新聞・雑誌の記事や井上円了・柳田國男・高峰博らの所説、古典の文を出典を添えて引き、葬送の習俗や布哇の霊魂観から説く幽霊思想、幻覚や網膜による説明、乃木大将が見た我が子の幽霊などの実話を集める。三篇に分かれ、第二篇は男女の幽霊・怨霊・生霊・小児の見た幽霊・前知らせなど八項、第三篇は幽霊写真・化物屋敷・霊界通信を扱い、巻末を夕張と筑前の幽霊問答で結ぶ。