買い物の道で後ろへ抜けた意識
どんな伝承か
兵庫県明石市の安封淑子さんは、十年ほど前に夫と並んでショッピングセンターへ歩いていたとき、不意に自分の意識が五メートルほど後ろへ移り、前を歩く自分の体を眺めていた。抜け殻のはずの体は普段どおり歩き、夫との楽しげな会話も途切れずに続いていた。意識はやがて体に戻り、その日のうちに同じことが三、四回起きた。数か月後にも、家の前の道で隣家の奥さんと立ち話をしている最中、意識が玄関前の階段に移って二人を見下ろし、行き来を二、三回繰り返した。いずれも意識は澄んでいて、病気でも臨死でもない日常の中で起きた体外離脱だった。
原典より
突然私の意識が、私の後五メートルくらいのところに移ってしまって、前の私をじっと見ているのです。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。