自己像幻視と体外離脱の境目
どんな伝承か
自己像幻視がどんな仕組みで起こるのかは分かっていない。ただ器質的な脳の病気に限らず健康な状態でも生じることから、脳の視覚に関わる神経回路の働きの異常で説明できるのではないかと立花隆は推測する。体外離脱がその延長にある現象なら、これも神経学で説明できることになる。もっとも両者を別物と切り離す考えもある。最大のちがいは意識がどちらにあるかで、自己像幻視は肉体側に、体外離脱は抜け出た側に意識がある。しかし二つが連続して現れる例があり、切り離す論は通しにくい。オカルトの側は肉体と魂の中間にあるという体を持ち出して両方を説明するが、その存在を実証した者は一人もいないと著者は退ける。
原典より
このように、自己像幻視は、いろんな状況下で起こり得るものなのである。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。