豊凶を告げる世の中桜
どんな伝承か
元屋の字馬越、通称浄那の山中には、彼岸桜より早く花をつける一本の桜がある。世の中桜、また世間桜、世の中知らせ桜とも呼ばれ、三光国師が自ら植えたものだと伝えられる。花がすべて咲きそろった年は豊作で、その年の作柄は咲き具合に応じるとされた。かつては国師の創建になる建福寺の僧が咲きぶりから豊凶を占い、役所へ報告しており、その評判は江戸幕府にまで届いたという。隠岐を巡る道者もこの名木を欠かさず訪ね、里人に開花を尋ねては、美しく咲いたと聞いて喜んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。