大池の竜を見て彫った左甚五郎
どんな伝承か
簸川郡湖陵町に腕の優れた彫刻師がいたが、竜だけはどうしても満足のいくものが彫れなかった。諸国を歩いて竜の姿を求めても果たせずにいたところ、湖陵町大池の池に竜がいると聞いて喜んで訪れた。何日も神仏に祈って待つうち、ある晩、静かだった水面が揺れて稲妻が走り、雷鳴とともに竜が空高く舞い上がった。その姿を目の当たりにしたおかげで立派な彫刻ができたという。以後この池は蛇池と呼ばれ、今も蛇の間という所が竜の棲家と伝わる。彫った竜は出雲大社に奉納されて拝殿の破風に掲げられたが、毎夜鳴き動くので真ん中から引き割ると静まった。彫刻師は左甚五郎だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。