火打谷の池に樫を引き込んだ大蜘蛛
どんな伝承か
邑智郡邑智町の簗瀬火打谷には、周囲五〇メートルほどの深い池があった。ある日、爺さんが焚木取りに出てほとりで休んでいると、池の中から一匹の大蜘蛛が現れ、履いている足半の緒に糸を巻きつけては、池と緒との間に一心に糸を張る。不審に思った爺さんは、その糸をそばの樫の木に巻きつけておいた。一時間あまりたったころ池の中がざわめき、樫の木は根元から池へ引きずり込まれてしまった。この話を聞いてから、誰もこの池へ近づかなくなり、池はいつの間にか埋められてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。