隠岐へ蔭をさす須佐の蔭無し桜
どんな伝承か
須佐神社の東南のあたり、田圃の中に桜が壺という小さな岩があり、その岩の中に桜の木が生えている。この桜はどうしても大きくならない。訳を尋ねると、大きくなると隠岐の国へ蔭をさし、そのために隠岐では田の稲ができなくなるからだという。そのため隠岐からは明治の中頃まで参拝者があり、今もその言い伝えが残っている。語り手は、昔、隠岐から女の遍路のような人が須佐神社へ参拝し、その桜が壺で亡くなったといい、そこは墓の土地ではないかと推し量っている。この地では桜は大きくならないが、隠岐の国ではその桜が蔭をさすという伝説が今も残っているという。
原典より
<高木―「大木」「不成長木」>ええっと昔、須佐神社の約東南方の所に桜が壺という小さい岩が田圃の中に岩がありまして、その中に岩の中に桜の木が生えておりまして、それはなんぼうしても桜の木は大きくなりません。—— 日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。