クス嶋に置き去られた傾城と蝮
どんな伝承か
甲浦の湊口にクス嶋があり、灯明堂が置かれていた。島には大きな蝮がすみ、夏の夜には灯明の油を飲み、堂に巻きついたという。元親の時代、甲浦の富商である淡路屋が大坂からの帰りに傾城を連れ帰ったが、妻の嫉妬を恐れてクス嶋に留め置いた。妻は怒って夫を家から出さず、下人ひとりも島へ渡らせなかった。女は磯の藻屑や貝を食べてしのいだ末、島の池に身を投げた。のちに衣装や帯は残っていたが遺体は見つからず、島の蝮は傾城の亡霊と語り伝えられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第12巻』所収の「文化叙事伝説」全139話(香川・徳島・愛媛・高知=四国)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。