蝮と早蕨
どんな伝承か
ある時のことで、夏の盛りであったという。病気の蝮が日の光に焼かれ、疲れきって動くこともできないでいた。その時まで日の光に生えていた早蕨は、蝮の苦痛を一心に憐れに思って、か弱い手でそっと蝮の鎌首を持ち上げてやり、ようやくのことで日の光の直射から免れさせてやった。それからこちら、薮に入る時は「奥山の姫まむし、蕨の御恩を忘れたか」と唱えると、その蝮を避けることができたという。
原典より
ある時の事で、夏の盛りであつたといふ。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。