竈の荒神様をめぐる本納の俗信
どんな伝承か
本納町地方には、荒神様をめぐる俗信が数多く伝わる。荒神様は飯の焦げる匂いがお好きだから、飯の焦げを竈にくべて焚くと飯が加減よく煮え、また早く出来る。竈に第一に洗った米を献げると、飯の煮炊きが手早くなる。一旦荒神様に供えたものを食べると怪我をしないといって、その供物はよく可愛い子供に与えられる。荒神様には鶏を書いた絵馬を献げ、みそさざいは荒神様と言われている。荒神様に薪の燃えさしを献げると、翌日はきっと雨になる。荒神様は黒痣のある人がお好きである。人が遅れて帰宅する時は、荒神様が迎えに出て下さる。後頭部の髪を、荒神様の毛という。
原典より
●荒神様は、飯の焦げる匂ひがお好きだ。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。