頼朝の箸が根づいた薄箸の祝い
どんな伝承か
六月二十七日は昔、源頼朝が陣を張った日と伝えられる。頼朝が陣中で食事をとり、何気なく薄い箸を地に挿したところ、箸はそのまま地に根づき、やがて赤く色づいた。これを武将の血の箸だといい、茂原市の二宮本郷にはその箸を挿したという地がある。この日には「薄に祝い」といって、篠竹の皮で先を細く削った箸を作り、十三膳を一束にして神棚の下に結びつけ、仏壇にも箸一膳と赤飯を供える風習が残る。昔は下総の香取郡多古村喜多区でも薄箸を作ったというが、今は絶えたらしいと『南総俚俗』を引いて記す。
原典より
六月二十七日は、昔、源頼朝公の陣をはられた日で、当時、頼朝は、陣中で、お食事を食べられた。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。