夜更けに赤子が泣く大石
どんな伝承か
梅ノ木の不動の滝から十町ほど離れた場所に夜泣石がある。昔、若い百姓が身重の妻を連れて山道をたどっていると、妻が急に産気づいた。百姓は妻を路傍の大石に寝かせ、助けを呼びに村へ走る。人を連れて戻ってみると、石のまわりは真赤な血に染まり、妻の姿は消えていた。悲しんだ百姓も、その大石のそばで首をくくって妻の跡を追う。以来この道筋では、夜が更けてから通りかかると、どこからか赤子の泣く声が聞こえるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。