老婆に見破られた獅子吼城の謀計
どんな伝承か
城山の上に築かれた獅子吼城は、数か月に及ぶ籠城で兵糧も飲み水も尽きかけていた。ところが城内では敵から見える場所で馬を水で洗い、眼下の塩川へ滝のように水を落としてみせる。実はこれは城主江草兵庫之助の謀で、洗っていたのは米、落としていたのも米であった。だが城の南、浅尾原の三角屋敷に住む奇怪な老婆がこれを見破って敵に告げたため、塩川上流の水系を断たれ、城は落ちた。落城のとき城で飼っていた獅子は走り出て一声高く吼え、塩川の淵へ飛び込んだ。その淵を獅子淵という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。