小迫海岸に流れ着いた清盛の娘
どんな伝承か
向田の里がまだ人まばらであったころ、小迫海岸に一隻の小舟が打ち上げられ、ひとりの女人が乗っていた。助けた漁夫が見ると、顔は見るに堪えぬ姿なのに衣は華やかで宮人を思わせた。女は、自分は平清盛の七人娘の一人だが婦人病を得てこの姿となり、姉妹にも嫌われて流されてきた、いま身は召されるが魂はこの世にとどまり腰から下の病を救う神になりたい、と告げて息絶えた。舟を壊した石を立てて姫の魂の座として祀ったのが、婦人病の神である粟嶋神社の始まりだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。