瑞雲寺東の長者夫妻の五輪塔
どんな伝承か
昔、平戸地方に大渡長者という地頭がいた。瑞雲寺の東側にある神応寺址の二基の五輪塔は長者夫妻の墓だといわれる。長者はもと軽い商人で、平戸から川内浦へ塩を売り歩き、川内峠で休むたびに道ばたの石に塩を供えて安満岳の白山権現を拝み、九十九島の数ほどの大船を持つ身分にしてほしいと祈った。ついに願いどおりの大航海業者となり、平戸一円を領した。世継ぎの男子がなく、娘を松浦家十六世に納めて所領を献じ、安楽に生涯を終えたという。十七世安正が邸址に神応寺を建てて菩提を弔ったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。