四つの伝説を持つ身投げ石
どんな伝承か
杵築市の八坂川右岸に、身投げ石と呼ばれる岩がある。馬のひづめ跡がついており、四通りの伝説が残る。第一は、天正年間に木付城下の岡の殿の姫が重病になり、殿の乗馬が黒ユリをくわえてきて姫を治したが、約束の褒美を反故にされた馬が姫を川岸へ追いつめ、姫も馬も身を投げたという話。第二は杵築城下の美女お満が馬に襲われて身を投げた話。第三は薩摩軍侵入の折、姫が愛馬もろとも身を投げた話。第四は落ちぶれた父に嫁がされるのを拒んだ姫の身投げである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。