鵜目姫を奪った鬼八と人身御供
どんな伝承か
瀬戸山の『日向の伝説』によると、二上峰の千々ヶ窟に住む鬼八は、祖母岳明神の娘である鵜目姫を奪って妻にしていた。三毛入命が四十四人の手下を連れて窟に押し寄せると、鬼八は別の穴から抜け出して逃げた。追いついた命はこれを斬り、地に埋めて八尺の大石で押さえたが、鬼八は一夜で体がつながり石を動かしてうなる。そこで三つに切り分け、頭と胴と手足を別々に埋めた。命は鵜目姫を妃として八人の子をもうけ高千穂の領主となったが、鬼八の霊はときおり目覚めて早霜を降らせ作物を荒らした。そのため人身御供を捧げるようになり、戦国期に岩井川の領主甲斐宗摂の進言で人の代わりを供えることになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。