横穴の老女と琴の音
どんな伝承か
延岡市の稲葉崎にある横穴に、老女が住んでいた。立派な道具をたくさん持っていて貸してくれたが、顔を見せることはなく、美しい手だけを穴から出した。ある日、五、六人の若者がその手をつかんで引き出そうとしたところ、手がすべって尻餅をついた。老女が、今度は私が腕を引き抜こうと笑ったので、若者たちは逃げ帰った。その後、老女は姿を消し、代わりに琴の音が聞こえるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。