湯田の稲荷大明神と丹後局の狐火
どんな伝承か
湯田村に稲荷大明神が鎮座する。地頭仮屋から卯辰の方角へおよそ一里十七町の所にあり、祭神は摂津住吉の末社の稲荷と同じである。得仏公の母堂である丹後局が勧請したと言い伝える。局が住吉で公を産んだ夜は大雨で暗かったが、狐火が闇を照らして守護した。これは明神の冥助であるとして、局は下向ののち明神を崇め、多くの祭田を寄進して氏神としたという。もとは今の社地から申の方角へ四町ほどの所にあったが、祢寝八郎右衛門清雄が田を開いたので社を遷し、九月七日に遷宮した。旧社地には石の小祠を建てて印としている。宝殿には古い鎧一領が納められ、得仏公の寄進と伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。