三人の子を焼かれた大蛇と大戸野の祠
どんな伝承か
黒荷田の集落が大戸野の野原を焼くと決めた前の晩、黒木清左衛門の家に一人の女が現れた。女は自分が大戸野の野に住む者だと名のり、三人の子が重い病なので野焼きを延ばしてほしいと泣いて頼んだ。庄屋は聞き入れず、翌日火を入れた。焼け跡には大蛇と二匹の子蛇の死骸があったという。やがて庄屋は中風で死に、家族も次々と亡くなり、村には悪疫と飢饉が続いた。蛇が死んで七年目に祠を建てると、それきり災いはやんだ。以来、権現さまとして崇めているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。