天帝の庭から盗まれたキインの種
どんな伝承か
宮古島がまだ十分に形になっていない大昔、天のいちばん偉い神である天帝が女神を呼び、下界の三角島に降りて島建てをせよと命じた。女神が降りてみると岩だらけで水もないので戻って訴えると、天帝は大雨を降らせ土をばらまいた。赤土ばかりでは作物ができないと訴えると、今度は黒土をたっぷり降ろした。種がないと訴えると、天帝はウプガンなどの種物を与え、最初に出会った者と結婚して子を生めと命じた。ところが種にキインがなかったので、女神は天帝の庭からこっそり盗み、イタンに隠して降りた。それでキインは月夜には蒔かず真夜中に向けて蒔けば豊作になるという。女神は猿のように醜い男と出会って嘆いたが、天帝の命であるからと結婚し、子孫を繁生させたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。