雨気岳の神と通じた妻が生んだ子
どんな伝承か
赤田の入口には千年松と呼ばれる大松が立ち、その上手には山ガナシ、豚囲い山とも呼ぶ木立がある。そばの屋敷ントウという広い場所に先祖が住み、砂糖小屋を構えていた。当主は漁を好んだが、その妻が雨気岳の神と通じて神の子を生んだと語り伝える。雨気岳からは、人が見ればただの白紙にしか見えぬ手紙が飛んで来て、妻にだけ字が読めた。食事を供えれば受け取り、供えなければ夢で知らせたという。子は七つまで育って姿を消し、墓を作ろうとすると、自分は神の子だから墓所は自分で選ぶ、七月七日に知らせると告げた。やがてムカデ旗が下ってウキントロの岬の木の根もとに立ち、以後カンチバナアサチンギャナシとして祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。