八月踊りで見初められた娘
どんな伝承か
伊豆大島に流された為朝が近隣の島々を攻めていたころ、暴風に流されて奄美大島南端の西古見の港に船を寄せ、風待ちをしていた。ある日、家来を連れて対岸の加計呂麻島の実久へ渡ると、その夜は八月踊りにあたり、島守林太夫も加わって女童たちが踊り、為朝をもてなした。踊り手の中に一人の美しい娘がおり、心を奪われた為朝は船を実久へ回して一、二ヶ月そこに留まった。娘はほどなく身ごもったが、順風を得た為朝は琉球へ向かうことになり、力自慢の大与穂加那之に娘を託し、男子が生まれたなら系図を与えよと言い残して去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。