剛力の大臣と貞操を守った妻
どんな伝承か
百合若大臣は剛力で、二、三人がかりで持ち上げるような煙草盆も平気で使い、剣も六尺余りのものであった。しかも寝れば七晩、起きれば七昼という人だった。美しい妻を狙う部下が、大臣の眠っている隙に筏か箱に入れて海へ流したらしい。気づいたときは海の上で、ようやく水納島に着いたが無人島で、六尺の剣が五寸になるほど貝を漁って生きた。妻の便りを足に付けた愛鳥が飛来し、大臣は小指を切って血で返事を書く。愛鳥は食物を運んでいたが悪天候に遭い、死骸が流れ着いたので塚を築いて葬った。やがて船に助けられて帰ったが門番は気づかず、道具を見せてくれと頼んで家に入り、鎧を身につけて名乗り、裏切った部下を討ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。