妙義の岩を射抜いた百合若大臣の弓
どんな伝承か
百合若大臣はあり余る力の使い道を求め、大木を引き抜き、大岩を持ち上げてみたが、どれも物足りなかった。腕試しには弓が一番だと思い定め、何を射るかを考えながら妙義山を望む野をさまよう。ふと見上げると、天を突くように峙つ峰の岩があった。その姿が小癪に思われ、満月のように弓を引き絞って矢を放つと、矢は岩を貫いて大きな穴を穿ち、なお向こうへ飛んでいったという。これが射抜きの岩穴で、妙義神社の神馬殿には彼が使ったという鉄の弓矢が納められている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。