大魚を腹の中から斬った豊見氏親
どんな伝承か
普佐盛豊見親と同じころ、一四五〇年頃のこと。今の字伊良部の主長に豊見氏親という人がいた。義俠心が篤く庶民から慈父のように慕われていたが、当時、伊良部と平良の間の海に大きなサバが現れ、行き来する船を覆して人命を奪っていた。氏親は神々に祈願し、祖先伝来の脇差を帯びて、茅を積んだ小舟をただ一人で漕ぎ出す。大サバに躍りかかられて一口に呑まれたが、腹の中で腹を突き刺し腸を断ち、ついに倒した。村人が腹を裂いて救い出したものの氏親は息を引き取り、比屋地お嶽の側に葬られて、その副神として祀られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。