灰で捕らえられた屋良ムルチの大鰻
どんな伝承か
屋良ムルチという大きな川に大きな鰻が棲み、南の原野で飼う子牛を呑もうとしていた。それを見た百姓が鰻の通り道に薪の灰をまいたので、鰻は苔がべとついて戻れなくなり、千貫田という屋取の者に捕らえられて食われた。その後、義本王の時代に七ヵ月も雨が降らず、百姓たちは王に天分がないからだと騒いで戦になった。ムルチの神に二十歳の娘を生贄にしなければ雨は降らないと言われ、金持ちの娘が当たったが、金持ちは貧しいタマムイの家の継子に金を渡して身代わりを頼んだ。娘は育ててくれた父への恩返しにと承知し、父は命より大事な宝はないと金を返させた。それでも娘がムルチへ行くと、神が助けて娘を救ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。