久米島の祝女が籠もった君南風窟
どんな伝承か
阿波連では三月三日になると必ずハナリへ渡って漁をする。ハナリに拝所はないが、祈願をするためのほこらがある。昔、久米島の船が順風に遭わず、ウフシュロージと呼ばれる海域に停泊していたが、女は船で暮らせないというのでハナリに降り、ハナリの窟で暮らしていた。三月三日になったので、阿波連の祝女や根神たちが、あの久米島祝女を寂しがらせてはいけない、ハナリで励ましてこようと言って、重箱を用意して勇んで渡り、一日中楽しませたという。それ以前はハナリに神はいなかったが、そのときからハナリへ行くようになった。ハナリの浜には久米島祝女が泊まったという窟があり、その人は君南風加那志といい、窟の名も君南風窟という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。