壺を抱いて御神山に漂着した五人の子
どんな伝承か
喜界町小野津に伝わる。昔、琉球のある所に十一歳を頭に五人の子を持つ、手先の器用な女がいて、選ばれて王へ上納する絹布を織らされた。上納の期日が明日に迫っても子がいて捗らず、思案の末、五人の子を舟に乗せ、壺を一つずつ与えて遊ばせた。縄を引いたり緩めたりして合図しながら機を織り、宵闇の頃にようやく織り上げて浜へ出ると、舟は影も形もなかった。母は狂気のように四方を探し、山にも登って海を眺めたが見つからず、せめて子らがどこでもよいから無事に着き、神として拝まれるようにと祈念した。舟は波に揺られて喜界島小野津の御神山海岸の泊に漂着し、五人の子は壺を一つずつ抱えて上陸した。子らはやがて死に、御神山の林中に葬られ、壺はその上に置かれた。古人はこの壺の水の多少で年の豊凶を占ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。