伊勢の神軍と二見浦の幻
どんな伝承か
ある夜、伊勢の太神宮の正殿の中で人の名を呼び立て、弓矢や甲冑を下し与える声がして、宿直の内人や物忌たちがこれを聞いて畏れた。二見の浦では数十人の男女が、甲冑をつけた大勢の人が白雲に乗り、また馬で海上を東へ向かうのを幻に見た。太神宮から将門を討つために遣わされた勢だと言って消えたといい、前夜の神異と符合し、のちに二月十四日に将門が誅されたと聞いたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。