小崎の沼の片目の魚
どんな伝承か
埼玉の小崎の沼に棲む魚は、どれも片目だという。むかし殿さまの娘のさき女がかんざしを沼へ落とし、拾おうとして沼にはまって死んだ。それ以来、魚だけでなくイナゴや蛙まで片目になったと語られる。片目の魚の言い伝えは各地にあり、杉並区上高井戸の医王寺近くの小池では、眼病平癒を願う人が放した魚がいつしか片目になり、薬師さまの魚と呼ばれている。こうした魚は、眼を病む者の身がわりになったものと考えられており、鯉や鮒、鰻などが多い。
原典より
行田市埼玉の小崎の沼に棲む魚は、みな片目であるという。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。