二十五坪の荒れ地に残る生埋めの跡
どんな伝承か
南河原村の東のはずれに、民有地となった円い荒れ地がある。広さはおよそ二十五坪。むかしここで一人の行人がみずから穴を掘り、松虫鐘を打ち鳴らしながら生きたまま土に入ったと語り伝える。村の者が気づかって竹の管を差し込み、地中へ空気が通るようにしてやったので、四、五日のあいだは土の下から鐘の音が聞こえ続けたが、やがて音は絶えて行人は息絶えた。郡村誌の編者は、その村人こそ行人を葬った者であろうと注を付している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。