越上山で黒煙を上げる雨乞い
どんな伝承か
越生町黒山の越上山は、遠くから望めば江戸の方まで見えるという山である。雨が欲しいとき、村人は笛や太鼓を鳴らして山頂に登り、薪を集めて火をつける。上に「雨」、下に「龍奉」と書いた赤地の長い旗を持ち、「有馬山の竜タッ坊、これへかかれ黒雲、ザアンザと降ってくれ」と唱えながら火の周りを回った。薪をわざと不完全に燃やし、黒煙をもうもうと立ち上らせるのだという。
原典より
この山は遠く望めば、江戸の方までみえるという山である。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。