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岩屋の竜宮から膳椀を借りた多武峯の主人

所在地埼玉県比企郡ときがわ町大字西平多武峯(龍宮の穴)
年代伝承
登場竜宮の姫(一説に天狗)
出典埼玉県伝説集成——分類と解説 上

どんな伝承か

都幾川村西平の多武峯で祝いごとがあり、大勢の人が集まったときのこと。主人は岩屋へ行って竜宮のお姫さまに膳や椀を借りてこなければならないと言い、木の根をつたって岩屋へ下りていった。人々があとをつけると、主人は岩屋の入口で祈っていた。やがて水が音を立てて流れ出し、それとともに美しい膳や椀が出てきた。借りた器の数は、その日の客の数とぴたりと合っていたという。一説には貸し主は天狗で、頼めば翌朝には頼んだ通りの膳椀を貸してくれたが、あるとき借りた物を返さなかったので、以来願いはかなわなくなった。多武峯神社を管理する武藤家には、そのとき返さなかったという朱塗りの大椀十二個が家宝として残っている。

原典より

ある時多武峯にお祝いごとがあったので、老若男女が多数集まった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)

『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。

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