片足の姫神と雷電山の雨乞屋根
どんな伝承か
玉川村日影にある雷電山は、別に雨乞屋根とも呼ばれる。昔この山の頂で神楽の音がした。里の人が言うには、山上には片足の姫神が住んでいて神楽を奏しており、その神に会うには麓から片足のまま登らねばならないという。あるとき堂山村の青年が栗を採りに登り、神楽の音を聞いて姫神に会いたいと願った。日を選んで片足で登り始めたが、九合目まで来て力尽き、両足を地についてしまう。失望と疲れが一度に襲い、青年はそこで息絶えた。以後、神楽の音も絶え、姫神の在り処も分からなくなった。青年の涙が凝って大雨になったといい、旱魃のときはこの山上で青年を弔うと雨が降るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。