大沼の底に眠る私市城の陣鐘
どんな伝承か
加須市油井ヶ島には大沼と呼ぶ池があり、『新編武蔵風土記稿』は水底に陣鐘が埋まっていると伝える、と記す。池のそばには鐘撞山という盛り土があって、私市城が上杉謙信の軍に攻められたとき、ここで鐘を撞いたという。水底の陣鐘とはこのときに撞いた鐘を指すのであろうかと、編者は推測している。
原典より
『新記』(巻二〇九)に「油井ヶ島は、大岡源右衛門が預所なり、水底に陣鐘埋りてありと云伝ふ。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。