土の団子を供える笠森稲荷の願掛け
どんな伝承か
谷中の笠森稲荷は、笠森を瘡守にかけて、瘡やできものを治してくれるお稲荷様として昔から信じられてきた。願をかける人はまず土をこねた団子を供えておき、病が治ったら今度は米の団子を供えてお礼をするのが、古くからの習わしだったという。初音町二丁目の功徳林寺の境内にある笠森稲荷では、祠のまわりが一面、昔の人々が供えた土の団子で埋まっていた。もっとも笠森稲荷の本家がどこかははっきりせず、三崎町の寺にある瘡守薬王菩薩も、明治の初めに神仏を分けたとき稲荷を仏の名に替えたもので、堂の前の幟には今も瘡守稲荷と書かれている。
原典より
瘡、でき物に効験ありと信せられ、願を懸ける者は、先づ土の團子を上げて置いて、癒れば今度は米の團子を上げるのが、昔から一般の習慣になつてゐるのである。—— 江戸傳説(佐藤隆三) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。