東国へ飛んだ将門の首
どんな伝承か
大蔵省の構内、内務省に接した一角に石段があり、その上に古びた碑と小高い塚が築かれている。これが平将門の首塚である。かつては首を洗ったという井戸や御手洗池もあったが、震災後の庁舎建設で取り払われた。この地はもともと神田明神が起こった場所にあたる。伝えによれば、京で梟首された将門の首は三月のあいだ色も変わらず目も閉じず、夜ごと牙を鳴らして胴を求めて叫んだ。ある夜その首は虚空を飛び、武蔵国の田の中へ落ちて光を放った。土地の者が祟りを恐れて祠を建てて祀ったのが神田明神の始まりだという。首ではなく胴を埋めたので、からだの明神が訛ったとする説もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。