古井戸の障りを説いた浅間行者の祈祷
どんな伝承か
某省官吏田口氏の妻・喜美子は、子宮癌の手術後に起きた出血がなかなか治らず焦っていたところ、出入りの洗濯屋の主婦に勧められ、麹町区六丁目の扶桑教会の浅間行者のもとへ行った。行者は、いま住んでいる家の鬼門に便所がある、埋めた古井戸もあるだろう、それが障りになって病気を起こしているという。家に帰って調べると、埋めた古井戸は事実あった。行者は引越しには及ばない、御祈祷で障りを払えばよい、医者には一切かかってはならないと言い、庭の隅に小さな水神の祠を祀って毎日祈祷に来た。すると不思議に喜美子の身体の具合は追々よくなった。大正十一年三月のことである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、中村古峽が著した変態心理学の論集である。二重人格、夢遊病、狐憑きや神隠し、催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教などの神憑りや心霊術を迷信として論じ、迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収める。著者自身の被験者や大本教訪問の見聞を例に引き、変態心理の解説から催眠術、宗教批判、犯罪の実話へと進む順に並べる。