天王山の夢─竹寺での思い出
どんな伝承か
若い修行僧だった筆者は、下駄履きで吾野駅から前坂を越え竹寺へ通った。ある日の帰り道、名栗へ下る八幡坂で東京から来た三人連れの娘たちに豆口峠への道を教えた。別れ際に下駄の鼻緒が切れると、そのうちの一人がハンカチを裂いて鼻緒をすげ直してくれた。赤いセーターを着たその娘の白いうなじは、谷を隔てて紅葉する棒の峰や有馬山の美しさにも劣らなかったという。以来、天王山の裏山にはあの娘が待っているだろうと筆者は語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年頃(昭和50年代))