きつねにばかされた話(真亀)
どんな伝承か
九十九里町真亀のある人が、酢を牛車に積んで隣の八斗まで売りに行き、日暮れに帰路についた。牛は通いなれた道を覚えていたが、うとうとした男が目を覚まし道が違うと思い込み、手綱を引いて別の方向へ歩かせてしまう。長く歩いた末にたどり着いたのは真亀ではない見知らぬ場所で、そこで初めて狐に化かされたと気づいたという。牛は正しい道を覚えていたのに、無理に手綱を引いたために遠回りをしてしまったのだった。
原典より
昔、ある人が酢を牛車に積んで、八斗(白子町)まで売りに行きました。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌・昭和中期~後期(記録内容から推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌・昭和中期~後期(記録内容から推定))
本書は千葉県九十九里町周辺に伝わる民間伝承・怪談を体系的に記録した郷土資料である。きつね、大蛇、ムジナ、カッパなどの古典的な妖怪から、船幽霊や神かくしなどの超自然現象まで、多様な怪異譚を収録している。特筆すべきは、これらの話の多くが地域の屋号や信仰習慣の由来を説明する機能を持つ点である。また、妖怪との遭遇が引き金となり、恐怖症状から死に至る事例が複数記録されており、当時の人々の信仰深さと心理的影響の大きさを示している。