武雷神社で祓われたシノラのきつね
どんな伝承か
明治の中ごろ、片貝に住むある男が病みがちになり、立ち居振る舞いもおかしくなったので、拝み屋に見てもらった。拝み屋の見立ては、西野のシノラのきつねが憑いているというもので、霊験のある武雷神社の宮番にお祓いを頼めと勧めた。男は西野行きを嫌がったが、家の者がだまして連れて行き、拝殿へ上がるのを拒む男を近所の人の手も借りて引き上げ、宮番に祓ってもらった。不思議にもそれから男は元気を取り戻した。妻は自分の足で歩けるうちは、毎月十一日の武雷神社への礼参りを欠かさなかったという。西野村ではシノラのきつねが人に憑いて悪さをしたと語られ、鳥刺の稚児囃子の文句にもその名が出てくる。
原典より
オガミヤが言うには、西野のシノラのきつねがついているということでした。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。