隠蓑のしびきせ祭と安徳帝
どんな伝承か
小倉南区隠蓑の薬師寺(隠徳庵)には、壇之浦で敗れて落ち延びた安徳帝を匿ったという伝説があり、これにちなんで毎年十二月十五日にしびきせ祭が営まれる。遠い昔から一度も欠かしたことがないと伝えられる祭りで、まず藁包みの中に、安徳帝の顔や沓を餅で形づくったイゴクやオクツ形を納め、寺の隣にある安徳帝御陵に捧げる。夜になると、敷いた藁の上に安徳帝の役をつとめる幼児や子供たちが座り、神主が頭の上から藁をかぶせて、子供たちの健やかな成長を祈る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。