下中沢で捕らえられたオサキ
どんな伝承か
飯能市の下中沢に伝わるオサキの話である。オサキは体長一尺ほどで、尾の先が杓子のように平たく、丸顔に人に似た耳、短い足には水かきのようなものがあり、目は小さく丸くて顔はいたちに似る。毛色は白・黒・灰色のほか、ぶちや三毛もあり、キチキチと鳴くという。三十五年ほど前、オサキがいるという家の山から二十匹ほどが出てきたので、姿を見ないようにして叩き、三匹ほどを捕らえた人がいた。目を離すと消えるので針金で縛って見張りながら持ち帰り、生き返らぬよう胴を二つに切って別々に埋めたという。
原典より
三十五年ほど前に、オサキを捕えた人がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。