笈に入って村々を巡る燕地蔵
どんな伝承か
熊谷市今井の、今井の地蔵堂と呼ばれる小堂には燕地蔵が祀られている。民家を仮堂とした仏間の低い壇に四つの笈が置かれ、それぞれに地蔵が納められ、笈の下の引き出しには巡行に使う灯心などの小道具を入れ、背には背負うための環が付く。江戸中期に使われたものらしい。燕が春に巣を発って初冬に戻るように、巡礼者も旅をすることから燕地蔵と名付けられたという。今井の浄業庵の延命地蔵の縁日にはドンガン念仏で供養し、その後地蔵を背負って八つの廓を一日ずつ巡り、地蔵盆の二十四日に庵へ戻る。
原典より
燕地蔵と呼ぶのは、燕は春、巣から飛立って初冬に帰って来る、巡礼者もまた燕と同じであるとして、名づけられたものである。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。