道灌の身代わりに立った薬師
どんな伝承か
草加市新里の徳性寺には、太田道灌身代薬師と呼ばれる薬師如来がある。道灌が命を狙われたとき、この薬師が身代わりに立ったという。『新編武蔵風土記稿』は、弘法大師の作で道灌の守り本尊だったという言い伝えを記している。上野の寛永寺の近くから移されたものともいわれる。かつては江戸の方からも参詣者が多く、足立区竹塚の増田橋のたもとには今も道しるべの手引石が立っている。新里の青年たちは、四月八日に百巻経を読んで念仏会を営んだものだという。
原典より
太田道灌がねらわれた時、身代りに立ったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。