奥尻島の鼠と蛇・海鼠の俗信
どんな伝承か
北海道の奥尻の島にも鼠の話がある。天明寛政の頃、漁師の網に鼠がかかって上がったと伝えられるが、詳しいことは分からないという。奥尻はそれ以前から鼠が多いので評判の島であり、同時に蛇と海鼠がよく取れる島でもあった。それで鼠が蛇を食って繁殖し、また或る年には蛇に食われて減っていくという話があり、あるいは海に入って海鼠になるのだという話さえあった。皆がそれを信じていたかどうかは明らかでないが、何らかの外部の理由でこの島の鼠の数に著しい増減があったことだけは事実だったらしい。柳田は、竹の実が長い周期で成熟することにその原因の一つを求めうるのではないかと考えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。